【2026年9月版】日本の子供向けAI教育・制度まとめ|保護者と先生のための一次情報リファレンス

目次

こんにちは。現役IT講師のきっちゃん先生です。

「子供のAI教育って、結局いま何がどうなっているの?」

保護者面談でも、先生方との会話でも、必ず出てくる質問です。ニュースは断片的に流れてきますが、全体像が一枚にまとまったものがなかなか見つかりません。

そこで、このページを作りました。

この記事の役割

  • 日本の子供向けAI教育について、いま何が決まっているのかを一次情報だけで整理します
  • すべての項目に日付と公式リンクを付けています
  • 解釈や意見は最小限にして、事実を確認できる形にしています
  • 状況が動くたびにこのページを更新していきます

現在の版:2026年9月17日時点


早見表:いま決まっていること

2022年度の高校「情報Ⅰ」必履修から、2031年度の中学校「情報・技術科」新設まで、日本のAI・情報教育政策の流れを時系列で並べた年表。内容は上の早見表と同じ

各項目の根拠と出典は、以下の章にそれぞれ記載しています。


1. 国全体の方針:AI法とAI基本計画

AI法(2025年)

正式名称は「人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律」です。

  • 2025年5月28日 成立
  • 2025年6月4日 公布
  • 2025年9月1日 全面施行

内閣にAI戦略本部を置き、政府がAI基本計画を策定することを定めた法律です。規制よりも研究開発と活用の推進に軸足があります。

出典:内閣府「人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律(AI法)」e-Gov 法令検索(条文)

AI基本計画(2025年12月23日 閣議決定)

AI法にもとづいて作られた、日本で初めてのAIに関する国の計画です。

この計画があることで、教育分野のAI関連予算や施策が「国の計画にもとづく取り組み」として進められるようになりました。文科省の各施策は、この上に乗っています。

出典:内閣府「人工知能基本計画」(2025年12月23日 閣議決定・PDF)


2. 学校でAIを使うルール:生成AIガイドライン Ver.2.0

文科省が2024年12月26日に公表した、学校現場向けの指針です。本体は全33ページあります。2023年7月に出た暫定版を大幅に改訂したものです。

示されている2つの基本的な考え方

  1. 人間中心の原則を基本にしよう
  2. 情報活用能力育成の観点から生成AIを考えよう

「禁止」「制限」という枠組みではありません。「使わせるかどうか」ではなく「情報を使いこなす力を育てる材料の一つ」として位置づけられています。

活用例として「誤りを含む出力を教材に活用し、生成AIの性質や限界に気付かせる」という使い方まで示されています。

読みやすい要約版があります

33ページの本体とは別に、3ページの概要資料1ページの概要も公開されています。まず全体像をつかみたい方は、そちらからどうぞ。

出典:文部科学省「初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン(Ver.2.0)」(PDF)/概要資料は「生成AIの利用について」


3. 授業が変わる:2030年度からの情報教育拡充

2026年7月8日、中央教育審議会の教育課程部会・総則評価特別部会が開かれました。ここで、次期学習指導要領における情報教育の拡充案が示されています。

新設される領域・教科

校種 位置づけ 年間の授業時数の目安
小学校 3・4年 総合的な学習の時間に「情報の領域(仮称)」を追加 各学年 最大30コマ程度
小学校 5・6年 同上 各学年 最大35コマ程度
中学校 1・2年 技術・家庭科を再編し「情報・技術科(仮称)」を新設 各学年 最大70コマ程度
中学校 3年 同上 最大35コマ程度

名称・時数はいずれも検討段階のものです。

実施時期

  • 全面実施:小学校 2030年度、中学校 2031年度
  • 先行実施:2028年度からの前倒しも検討中

総授業時数は増やさない方針

新しい領域・教科の時間は、他教科の時数を調整して確保する方針です。あわせて、学校の裁量で使える「調整授業時数制度」の創設も検討されています。

生成AIの活用が初めて明記される見込み

2026年8月31日のNHK報道によれば、次期学習指導要領には生成AIの活用が初めて盛り込まれる方針とされています。

出典:文部科学省「情報活用能力の抜本的向上及び柔軟な教育課程の在り方等について(検討資料⑫)」(2026年7月8日・PDF)/NHK「新たな学習指導要領 生成AI念頭 情報教育を新教科で大幅拡充へ」(2026年8月31日)


4. 高校「情報Ⅰ」はすでに必修です

ここは「これから」ではなくすでに起きていることなので、とくに注意が必要です。

  • 2022年度に高校へ入学した生徒から、「情報Ⅰ」が必履修
  • 2025年度の大学入学共通テストから出題開始(試験時間60分・100点、共通テストの満点は900点から1000点へ)
  • 国公立大学の一般選抜では、受験を必須とするところが多くなっています

文系・理系を問わず、全員が通る道です。「プログラミングは理系の子の話」という前提は、すでに成り立ちません。

出典:文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)」「大学入学共通テストへの『情報Ⅰ』の導入について」(PDF)大学入試情報提供サイト

注意すべき「はざまの学年」

新しい「情報・技術科」が中学校で始まるのは2031年度です。つまりいまの中学生は、中学校で新教科を受けないまま、必修の「情報Ⅰ」に進みます


5. 先生を育てる仕組み

新しい教科ができても、教えられる先生がいなければ内容は形になりません。この点には、はっきりした課題があります。

技術科の教員体制の現状

文科省が2024年2月に出した通知に、はっきりした数字があります。2022年度の調査時点で、中学校の技術・家庭科(技術分野)を担当する教員は9,719人。そのうち2,245人(約23%)が、臨時免許状または免許外教科担任という形で指導にあたっていました。

およそ4人に1人が、本来の専門ではない先生という状態です。

出典:文部科学省「中学校技術・家庭科(技術分野)の指導体制の一層の充実について(通知)」(2024年2月13日・PDF)

生成AIパイロット校

文科省は「リーディングDXスクール」事業の中で、生成AIの活用を実証するパイロット校を指定しています。2026年度の区分は3つです。

区分 内容
A 教育利用(児童生徒の学習場面での利用)
B 校務利用(教職員の校務での活用)
C 教材実証(情報活用能力育成に向けた教材の実践)

指定校の一覧は公式サイトで公開されています。お住まいの自治体や、お子さんの学校が含まれているか確認してみてください。ページが2つに分かれているので、役割ごとに挙げます。

「情報の技術」特設サイト(2026年8月)

中学校の技術・家庭科の先生向けに、研修用の授業動画・解説動画・教材・事例集をまとめた特設サイトが公開されています。

先生向けですが、誰でも見られます。実際の授業を撮影した動画に、スライドやワークシートがPDFで付いています。保護者が「中学校で何がどう教えられるのか」を先に確認することもできます。

出典:文部科学省「中学校技術・家庭科 技術分野『情報の技術』」(特設サイト)


6. 家庭で使える公式教材(すべて無料)

情報モラル教育ポータルサイトに、家庭でも使える教材がまとまっています。登録は不要です。

教材 内容
児童生徒向け動画教材(21本) ネットやSNSのトラブルを題材にした動画。「導入編」「全編」「解説編」の3種類
保護者向け動画・スライド PTAや家庭での話し合いにそのまま使える資料
情報モラル教育関連資料一覧 こども家庭庁・総務省・警察庁など各省庁の教材を横断でまとめた一覧(令和8年1月版)
情報モラル学習サイト 子供がクイズ形式で学べる別サイト
生成AI研修動画(3本) 教員向けだが誰でも視聴可。AIの指針の解説、基本的な考え方、性質や限界

出典:文部科学省「情報モラル教育ポータルサイト」「情報モラルに関する指導の充実に資する〈児童生徒向けの動画教材、教員向けの指導手引き〉・〈保護者向けの動画教材・スライド資料〉等」「特集!生成AIに関する教員向け研修動画シリーズ」


7. データで見る現在地

子供の生成AI利用(ベネッセ、2024年)

2024年6月、小学3〜6年生と保護者1,032組への調査です。

割合
生成AIを知っている小学生 23%
そのうち使ったことがある 70%

読み方に注意が必要です。70%は「知っている23%」のうちの割合なので、小学生全体では約16%、およそ6人に1人という計算になります。

出典:ベネッセコーポレーション「生成AIの利用に関する調査」(2024年7月発表)

保護者の意識(花まる教育研究所、2026年4月)

2026年4月15日公表、保護者268名への調査です。

割合
保護者自身の生成AI利用率 83.0%
子供の利用に前向き 54.3%
使わせ方に悩んでいる 55.1%
家庭内で十分に話し合えていない 88.7%

保護者の8割以上が自分では使っているのに、9割近くが子供と話し合えていない。この差が、いまの家庭の実情を表しています。

出典:花まる教育研究所「子どもと生成AIの関わりに関する意識調査」(2026年4月15日公表)。リセマムの記事で結果が紹介されています


8. 子供がAIを使うときの年齢制限

制度の話とは別に、各サービスの利用規約による年齢制限があります。

サービス 最低年齢 13〜17歳
ChatGPT 13歳 保護者の許可が必要
Gemini 13歳 保護者の許可が必要
Copilot 13歳 保護者の許可が必要
Claude 18歳 利用不可
Perplexity 13歳 保護者の許可が必要

「13歳以上ならOK」ではありません。13〜17歳でも保護者の関与が前提です。くわしくは年齢制限の記事にまとめています。

なおこれは各社の規約であり、制度ではありません。予告なく変更されることがあります。上の表は2026年9月時点のもので、利用前には各サービスの公式規約をご確認ください。

出典:各社の利用規約(OpenAI・Google・Microsoft・Anthropic・Perplexity)。各社の該当箇所と確認方法は年齢制限の記事にまとめています


保護者・教育者が今日できる3つのこと

ここだけは、事実の整理ではなく提案です。

1. お子さんの学校・自治体がパイロット校か確認する

リーディングDXスクールの指定校一覧から、都道府県で絞り込んで探せます。指定されていれば、学校でのAI活用はすでに始まっています。

2. 生成AIガイドラインの「1枚概要」を見る

33ページは読めなくても、1ページなら数分です。学校がどういう前提で動いているのかが分かります。

3. 同じ質問を2つのAIに入れて、親子で見比べる

答えが違うと分かった瞬間に、「AIの答えは1つの正解ではない」「どれを選ぶかは自分が決める」が体験として入ります。お金も道具も要りません。


よくある質問

Q. 学校はAIを禁止する方向なのですか?

いいえ。文科省の指針は「人間中心の原則」「情報活用能力育成の観点で考える」の2つが柱です。禁止や制限という枠組みではありません。先生向けの生成AI研修動画も公開されています。(根拠と出典は第2章・第5章)

Q. プログラミングは理系の子だけの話ですか?

いいえ。高校の「情報Ⅰ」は2022年度入学生から全員必履修で、2025年度から大学入学共通テストの出題教科にもなっています。文系に進んでも通る道です。(根拠と出典は第4章)

Q. 2030年まではまだ先の話ですか?

お子さんの学年によります。全面実施は小学校2030年度・中学校2031年度ですが、高校の「情報Ⅰ」はすでに必修です。いまの中学生は、中学校で新教科を受けないまま情報Ⅰに進む学年にあたります。(根拠と出典は第3章・第4章)

Q. 家庭で使える公式の教材はありますか?

あります。情報モラル教育ポータルサイトに、児童生徒向け動画21本と保護者向けのスライド資料が無料で公開されています。登録も不要です。(第6章)


参考資料(一次情報)

国の方針

  • 内閣府「人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律(AI法)」:ページを見る
  • e-Gov 法令検索「人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律」:条文を見る
  • 内閣府「人工知能基本計画」(2025年12月23日 閣議決定):PDFを見る

学校でのAI利用

  • 文部科学省「初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン(Ver.2.0)」(令和6年12月26日):PDFを見る
  • 文部科学省「生成AIの利用について」(概要資料・1枚概要はこちら):ページを見る

学習指導要領・情報教育

  • 文部科学省「情報活用能力の抜本的向上及び柔軟な教育課程の在り方等について(検討資料⑫)」(2026年7月8日 中央教育審議会 教育課程部会 総則・評価特別部会 資料1):PDFを見る
  • NHK「新たな学習指導要領 生成AI念頭 情報教育を新教科で大幅拡充へ」(2026年8月31日):記事を見る
  • 文部科学省「中学校技術・家庭科(技術分野)の指導体制の一層の充実について(通知)」(2024年2月13日):PDFを見る

教員支援・実証事業

  • 文部科学省「リーディングDXスクール 生成AIパイロット校」:サイトを見る
  • 文部科学省「リーディングDXスクール指定校一覧」(都道府県で絞り込めます):サイトを見る
  • 文部科学省「中学校技術・家庭科 技術分野『情報の技術』」(特設サイト):サイトを見る

家庭で使える教材

  • 文部科学省「情報モラル教育ポータルサイト」:サイトを見る
  • 文部科学省「情報モラルに関する指導の充実に資する〈児童生徒向けの動画教材、教員向けの指導手引き〉・〈保護者向けの動画教材・スライド資料〉等」:ページを見る
  • 文部科学省「特集!生成AIに関する教員向け研修動画シリーズ」:ページを見る

調査データ

  • ベネッセコーポレーション「生成AIの利用に関する調査」(2024年7月発表、小学3〜6年生と保護者1,032組):プレスリリースを見る
  • 花まる教育研究所「子どもと生成AIの関わりに関する意識調査」(2026年4月15日公表、保護者268名):リセマムの記事を見る

更新履歴

  • 2026年9月17日:初版を公開。AI法・AI基本計画、生成AIガイドラインVer.2.0、2026年7月の情報教育拡充案、高校「情報Ⅰ」、生成AIパイロット校、家庭向け教材、各種調査データを収録

このページは、状況が動くたびに更新していきます。最新の情報が必要なときの起点として使っていただければ幸いです。


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